ウクレレの材と音
タカハシウクレレでは、限りある木材資源と上手に付き合っていく為に、コアとはじめとする希少材にこだわることなく、今後も様々な材を積極的に利用していこうと考えています。ここでは、今現在タカハシウクレレでよく使用する材について、自分自身が感じている各材毎の音の違いをご紹介したいと思います。 (2018年4月更新)
〜音質の違いについてコメントする上での前提〜
ウクレレに限らず楽器の音は、文字でお伝えすることが大変困難です。この為、ここで述べる内容は、あくまで製作者の主観による音のイメージだと捉えていただければと思います。また、ウクレレの音の違いは、実は「材」の違いよりも、「どう作るか」(作り手)によって決定的に変わります。同じコア材をつかったスタンダードウクレレでも、各メーカーや製作者によって全然音が変わるのはこの為です。ですので、以下に述べる音のイメージは、あくまで私の製作するウクレレ同士での音の違い(キャラクターの違い)であり、他社ウクレレとの比較にはあてはまらない旨、ご理解いただきますよう、お願いいたします(_ _)
前置きが長くてすいません ^ ^; (本当に難しいんですよ、言葉で伝えるって・・)
■栃(トチノキ)
パリの街路樹のマロニエでお馴染のトチの木。日本でも随分昔から家具や床柱等に銘木として使われてきた材です。
楽器としてはバイオリンの裏板にたまに使われていた程度でしたが、今ではウクレレにも時々使われています。
外観はメイプルのような白木で、いろいろな模様の杢が出やすいことも特徴。
柔らかくて加工しやすい半面、トップ材に使うにはそれなりに補強をしてあげないといけません^ ^;
音色はソフトメイプルよりも太くて暖かい感じというか、メイプルの高音域を少しコンプしたような感じです。
硬質な音が好きな方にはお勧めできませんが、ホンワカした音がお好きな方には好みでしょう(^ ^)

■マホガニー
楽器製作はもちろん、家具や工業製品はじめ世界中で愛用されている木材。伐採が禁止されているホンジュラス産のものが最高級とされているようです。
音質は、明るく、アタックもあり、抜けも良く、いかにもウクレレらしいサウンドになります。製作家としては、とても安心して(?)使える材料で、よっぽど変なことをしない限り(笑)、安定してgoodなトーンに仕上がってくれます。音の芯は、どちらかというとタイト(細め)で、キラリとしたイメージです。
材によっては、繊維方向にそって「リボン杢」と呼ばれる杢目が出ているものがあり、光の加減で縦模様が変化し、とても綺麗です。 (写真は、リボン杢がとても綺麗に出ているものです) カーリーが出ているタイプもありますが、異常な高値で取引されていて、うちの価格帯ではとても採用できません(苦笑)。。

■ウォルナット
黒っぽい表面模様は、ウクレレにすると独特の雰囲気に仕上がります。幅広材がとりにくい為か、楽器には板目で使われることが多いですね。比重はマホガニーより軽いですが、加工している感覚としては、マホガニーよりも固く重く感じます。。
サウンドは、マホガニー同様の明るさや音抜けがありながら、音の芯はマホガニーより太い感じなので、とてもウクレレ向きの材だと思います。音のイメージは、マホガニーが「キラリ〜ン」なら、こちらは「ポロリ〜ン」でしょうか(笑)。
オールウォルナットもよい感じですが、メイプルやマンゴーと組み合わせてサイド材に使ってもGOODです。

■メイプル
耐久性がある美しい白木で、マホガニー同様世界中で昔から広く使われている材です。見事な杢目の出たカーリーメイプルやバーズアイメイプルは、年々価格が上昇しています(涙)。。。
とても綺麗な外観とは裏腹に、製作家としては、とても扱いが難しい材です(苦笑)。もともと、マホガニーに比べると、詰まった音というか、男らしいガツンとした音が持ち味で、その為エレキギターの特にハードロック系ギタリストに好まれます。
表面積の小さなウクレレでは、工夫してつくらないと、ブーミーというか、ガサツというか、チープな感じになりがちで、実は随分と試行錯誤しました(苦笑)。 が、サウンドの特性を上手に活かして組み立てると、とても繊細で女性的な、ストラトキャスターのハーフトーンにも似た美しいサウンドに仕上がります。個人的には、とても好きなサウンドの1つです。 メイプルには、ハードとソフトがあり、タカハシウクレレでは、ソフトメイプルを使うことが多いです。
音のイメージは・・・、えーと、あえていうなら、「シャラポロリ〜ン」かな??

■マンゴー
タカハシウクレレで、唯一、ハワイ産の材です。もちろんコア材も大好きなんですが、最近の異常な高値を見ると、とても手を出すに気になりません (T_T)
さてマンゴー、名前が美味しそうですが、本当に美味しいようで(笑)、「虫食い穴」(バグホール)がとても多い木材です。その為、楽器用としてバグホールのない部位だけを使おうとすると、コアに負けないくらい高価になってしまいます。タカハシウクレレでは、限りある木材資源を大事にしたいので、音に影響のない小さなバグホールが1つ2つであれば、そのままウクレレ材として使ってしまいます。穴一つない不自然なマンゴー材より、自然そのままの虫食い穴があったりするマンゴー材の方が、ウクレレには似合うと思いません?(^-^)
さて肝心のサウンドですが、マホガニーのような「キラリン」とした部分と、メイプルの「シャラリン」とした部分とを持ち合わせていて、なかなか楽しいトーンです。小さいバグホールを眺めながら、このウクレレが一本の大きなマンゴーの木としてハワイの地に生きていたことを想像すると、とても素敵な気持ちになれます。
願わくば、今後コア材のように高騰しないであってほしいものです。。。

■オバンコル
おそらく、ウクレレのレギュラー材として使っているのは私くらいでしょうか。。あまり聞かない材ですが、アコギを弾く方は、時々サイドバックで使用されているのをご存知かと思います。
ローズウッドに近い固さと、コア材にも似ている外観に魅力を感じて、ウクレレにしてみたらあら不思議!(笑)とても素敵な音が出ます。出来たてはかなりメロウな感じなんですが、数年すると艶のある高音も目立つようになってきて、自分用のウクレレの中でもお気に入りの一本です。
音のイメージは・・・、え〜と、(難しい・・)、「(艶のある)カラポロロ〜ン」かな(汗)・・・。とにかく、大人のウクレレの音という感じです。(陽気さはあまりないですね)
製作者からみた欠点は、「曲がりにくい削りにくいし、とにかく加工しにくいぞ、コイツ!」というところです(笑)。

■スワンプアッシュ(ライトアッシュ)
54年製ストラトキャスターでお馴染みのライトアッシュ(スワンプアッシュ)。綺麗な白木に特徴的な木目がはいるので、昔からいろいろな用途に使われてきました。
ウクレレにすると、とても軽くて、しかも固いので、音の振動性が良いというか、音の立ち上がりがよいキャラクターになります。芯音はややタイトな感じです。エレキギターも大好きな私としては、「う〜ん、フェンダー社の音」(笑)というイメージです。オールアッシュのウクレレもよいですが、粘りのある材との組み合わせもよい感じです。
薄くすると割れやすい材なので、組立時の扱いには神経を使います(^ ^; (ウクレレになっちゃえば大丈夫なんですが)
上記以外の材についても、今後少しずつ書き足していきますので、どうかお待ちくださいませ(_ _)